【忍者 五 レビュー】静音性が高く、よく冷える空冷CPUクーラー

ライザーです。

今回は超人気のハイエンド空冷CPUクーラー『忍者 五 SCNJ-5000』のレビューをしていきたいと思います。

この空冷CPUクーラーの特徴は何と言っても冷却性能と静音性の高さですね。

その性能は簡易水冷にも匹敵するほどです。

正直安い1万円程度の簡易水冷クーラーを選ぶのであれば、個人的には忍者 五の方がオススメです。

また、レビューするにあたって、

・忍者 五の設置方法

・AMD純正CPUクーラーとの冷却性能、静音性の比較

・実際に使ってみて良かったところ、気になったところ

といった部分を細かく解説していきたいと思います。

良かったら参考にしてみてください。

忍者 五 SCNJ-5000のここがポイント

・CPUを十分冷やしてくれる
・静音性がかなり高い

・本体サイズが大きいのでケースやメモリと干渉しやすい
・138.5(W)×155(H)×180(D)mm

空冷CPUクーラー『忍者 五 SCNJ-5000』の概要

忍者 五
本体サイズ 138.5(W)×155(H)×180(D)mm(付属ファン・ファンクリップ突起部含む)
ファンサイズ 120(W)×120(H)×27(D)mm
ファン回転数(PWM可変) 300(±200)~ 800 rpm(±10%)
ノイズ 4.0 ~ 14.5 dBA
風量 16.6 ~ 43.03 CFM
対応CPU Intel 775 / 1151 / 1150 / 1155 / 1156 / 1366 / 2011 / 2011(V3) / 2066
AMD AM2 / AM2+ / AM3 / AM3+ / FM1 / FM2 / FM2+ / AM4
ヒートパイプ 6 mm径×6本(ニッケルメッキ処理済み)
重量 1,190 g(付属ファン含む)
付属品 注射器入り高性能グリス・図解入り多言語マニュアル(日本語含む)
パッケージサイズ 215(W) × 235(H) × 180(D) mm
パッケージ重量 約1800g
保証期間 1年間

特にクーラーの高さは場合によってはケースに干渉してしまう恐れがあるので十分注意する必要があります。

付属品
図解入り多言語マニュアル
マウンティングプレート×2(共用)
ナット×4(Intel用)
LGA775用ゴムスペーサー(Intel用)
バックプレートキット(Intel用)
スペーサー×4(共用)
AMD用ネジ×4
グリス
ファンクリップ×4
ドライバー
Y字ケーブル

説明書には忍者五の設置方法が図解で分かりやすく載っていました。

忍者 五の設置方法(AMD対応マザーボード)

ちなみに裏側からいじれるPCケースであれば、パーツを全て分解しなくても設置できます。

私が現在使用しているPCケース『CORSAIR 110Q』も裏側からいじれるタイプなので、今回はパーツを一切分解せずに設置していきたいと思います。

ただ、パーツを全て分解した方が絶対に付けやすいので、できれば全て分解してからCPUクーラーを設置した方が良いですね。

後、今回は私がAMDユーザーということもあって、設置方法はAMDのみの紹介となっています。

まぁIntelだろうがAMDだろうがそこまで設置方法に差は無いですし、説明書を見れば簡単に設置はできますから。

ということで、早速忍者 五の設置方法について解説していきたいと思います。

まず、AMDのCPUクーラーを取り付けるための黒い2つのツメを取り外します。

ツメを外すとこんな感じで4つの突起物が出てくると思います。

4つの突起が無い場合はマザーボードの裏のバックパネルが外れている可能性があるので確認してみてください。

これがバックパネル

次に、4つの突起物にラバーを装着します。

ラバーには上下があって、上にゴムっぽい何かが付いている方が上になるので、注意して4つの突起に取り付けてしてください。

ラバーを取り付けたら、マウンティングプレートとAMD用ネジをこのような組み合わせでマザーボードに固定していきます。

ネジ穴が2つあるのですが、AMDの場合は外側の穴を使います。

プレートをネジで固定したら、次にCPUにグリスを塗っていきます。

グリスを塗ったらヒートシンクをCPUに取り付けるのですが、取り付ける前に必ず裏に貼ってあるシールを剥がしましょう。

このシールを剥がさないとCPUが全く冷えません!

CPUにヒートシンクを取り付けたら、次にCPUのファンを取り付けていきます。

忍者 五に付属している『KAZE Flex 120 PWM Fans』の場合は黒い方が吸気白い方が排気となっているので、注意してください。

黒い方が吸気側

白い方が排気側

ライザーライザー

CPUファンは基本的にケースのフロント側が吸気、リア側が排気となるように設置します

後、ファンをヒートシンクに取り付ける際にファンクリップを使用するのですが、ファンクリップは結構硬くて思いっきり下に引っ張らないとうまく引っ掛けることができません。

なので、ヒートシンクにファンを付ける際はファンクリップを思いっきり引っ張ってヒートシンクに引っ掛けるように設置してください。

ファンを設置した後は、ファンから出ているケーブルをマザーボードの『CPU FAN』と書かれているところに繋いで完成です。

見ての通り、かなり大型の空冷クーラーなんですが、私が現在使っているケースは高さ160mmまでのCPUクーラーであれば余裕で設置できるので、特にPCケースに干渉するようなことは無かったです。

また、メモリに関しても、私の場合は特にヒートシンクとか付けていなかったということもあって簡単に設置できました。

ただ、リア(排気)側のCPUファンはマザーボードのパネル部分に厚みがあったので少し干渉してしまいました。

ですが、ファンクリップの高さは自由に調節できるので、高さは少しズレてしまったものの問題なく設置できました。

AMD純正CPUクーラーと比較してみた

ここからは、『忍者 五』を実際に使ってみて、

・どれくらい冷えるのか?

・静音性は高いのか?

というのを、AMD純正CPUクーラー(AMD Wraith Prism)と比較してみながら検証してみました。

ちなみに、パーツ構成は以下の通りとなっています。

パーツ構成
マザーボード ASUS TUF B450-PLUS GAMING
CPU AMD Ryzen 7 3700X
CPUクーラー AMD Wraith Prism、忍者 五 SCNJ-5000
メモリ CFD W4U3200PS-16G(メモリ DDR4-3200 16GB×2)
グラフィックボード ASUS DUAL-RX5700-O8G-EVO
キャプチャーボード AVerMedia Live Gamer HD 2 C988
SSD(OS入り) SanDisk SDSSDH3-500G-J25
M.2 SSD Samsung 970 EVO Plus
HDD TOSHIBA DT01ACA050
電源 ANTEC NeoECO GOLD NE750 GOLD(80PLUS GOLD認証取得/750W)
PCケース CORSAIR 110Q

AMD純正CPUクーラーとの温度比較

まず最初に、AMD純正CPUクーラーと忍者五の冷却性能を比較してみました。

ちなみに、今回紹介するCPU温度はCINEBENCHを複数回行った上で、温度がある程度頭打ちになった際の平均温度となっています。

温度比較(室温20℃)
AMD Wraith Prism 忍者 五
アイドル時(CPU使用率5%以下) 41度 38度
高負荷時(CPU使用率100%) 74度 65度

AMD純正CPUクーラー(AMD Wraith Prism)の場合、CINEBENCHを複数回行って負荷をかけ続けると一瞬77度まで上がります。

ただ、平均値は74度くらいで、それ以上になることはほとんど無かったです。

一応室温が少し高い25度の状態でも計測してみましたが、ほとんど温度に変化はありませんでした。

それに対して忍者 五は高負荷時は大体65度前後で、一瞬であっても68度までしか上がらなかったです。

アイドル時の温度はそこまでの差は無かったのですが、高負荷時には10度近くもの差がありました。

取り敢えず、高負荷時でも70度を下回ってくれたというのは個人的にかなり大きいですね。

CPU温度は一般的に40度~70度の間が適正と言われていて、70度~80度以上になってくるとパソコンの電源が落ちてしまう可能性も見えてきますから。

ただ、個人的にはもっと冷やしてくれると期待していたので、少し残念には思いました(普段使いには申し分ないです)。

なので、もっとガッツリ冷やしたいって方はCPUクーラーのファンをサイズのKAZEからもっと冷却性能の高いクーラーに交換した方が良いかもしれません。

それか、いっそのこと簡易水冷にしてしまった方が良いかもしれません。

AMD純正CPUクーラーとの静音性比較

静音性に関しては私の環境で正確に測定できなかったのですが、実際に稼働させた時の音をスマホの音量計測アプリで測定して大まかに静音性を比較してみました。

スマホの計測アプリなので正確ではありませんがある程度の差は出るはずなので、この表ではその音量の“差”がどれくらいあるのかを参考にしてみてください。

また、「実際にどれくらい静音性が高くなったのか?」というのをある程度実感できるように、PCケースから約20cm離れたところにスマホを置いて動作音を録音してみたので、そちらも合わせて参考にしてみてください。

静音性比較(室温20℃)
AMD Wraith Prism 忍者 五
アイドル時(CPU使用率5%以下) 37dB(39dB) 38dB(39dB)
高負荷時(CPU使用率100%) 45dB(52dB) 40dB(42dB)

※()内はケースを開けた状態での測定値となっています

アイドル時の静音性はほぼ変わらなかったのですが、高負荷時になってくるとかなりの差が開いてきました。

特に、ケースの蓋を開けた状態で計測した際は10dBもの差がありました。

ライザーライザー

デスクに置いた状態で計測していたので、直接風は当たっていないはずです

実際体感できるレベルで静音性は高く、純正クーラーは高負荷時にブーンという「いかにも負荷をかけてるな」と実感できる音がするくらいにはファンが回っていました。

ですが、忍者 五の場合は「ちょっとファンの回転数が上がったな」って感じるレベルの音しかなりませんでした。

で、コチラが実際に録音した音声になります。

↓AMD Wraith Prism

↓忍者五

音量の調整などは一切しておらず、全く同じ距離、同じ条件(ケースから20cm離れた場所でケースの蓋を開けての録音)での録音となっています。

実際に比較して聞いてみると分かるかと思いますが、AMDの方が『ゴー』という音が次第に大きくなっていきますが、忍者五の方は音の大きさもほぼ一定で低い音でした。

数字だけだとイマイチピンとこない方も多いかと思いますが、10dBというのがこれだけの差があるってことが実際に録音を聞いて少しでも分かってもらえればと思います。

後、録音だと微妙な差に思える方もいるかもしれませんが、実際に使ってみると静音性の差がハッキリと分かります。

更に、静音性の高い密閉されたケースを使用すれば、これ以上に音が静かになります。

↓忍者五(ケースの蓋を閉めた状態で録音)

ここまでくると、HDDの低い振動音しかしてないんじゃないかってくらいには音が静かです。

測る時デスクの上に置いてしまったことを今になって後悔していますw

今度測る時はデスクに直置きせずに離した状態で録音するようにしたいですね。

ちなみに、私が聞いた体感的な音の大きさ(実際もこんな感じだと思う)としてはざっとこんな感じでした。

PS4稼働時の音>外付けHDDの音>PC通常稼働時の音

忍者五を実際に使ってみて良かったところ、気になったところ

ここからは以上の比較や実際に使ってみた際の使用感を踏まえた上で、良かったところと気になったところを解説していきたいと思います。

良かったところ

良かったところ

・CPUを十分冷やしてくれる
・静音性がかなり高い

まず、CPUに関しては、ビックリするほどよく冷えるとまではいかないものの、AMD純正のクーラーと比較すると高負荷時では10度近くも差がありました。

しかも70度を下回っているので冷却性のは十分に高いと思います。

ただ、個人的に感動したのはやっぱり冷却性能よりも静音性ですね。

これはもう体感できるレベルで全然違いました。

特に、ゲームをやっている時のファンのうるささが消えたのはかなり良かったです。

AMD純正のクーラーだと20%くらいの負荷であってもファンがフル回転していましたから、音はそれなりにヤバかったです。

それに対して忍者五はフル回転にしても全然うるさくなく、ゲーム程度の負荷であればアイドル時とそこまで変わらないレベルの静音性なので、かなり静音性は高いと感じました。

気になったところ

気になったところ

・サイズが大きいのでケースやメモリと干渉しやすい
・よく冷えるが、期待を越えるほどではなかった

やっぱり1番気になるところは本体の大きさですよね。

大きさは冒頭でも解説した通り138.5(W)×155(H)×180(D)mmもあります。

ATX規格のマザーボード対応のケースであれば大抵収まるとは思いますが、

また、メモリにも干渉しやすく、ヒートシンク付きのメモリだと場合によっては干渉してしまう可能性もあります。

なので、忍者五の購入を検討しているという方は必ず寸法を確認しましょう。

出典:忍者 五(NINJA5)株式会社サイズ

後、冷却性能に関してなのですが、忍者五は素の状態でも十分CPUを冷やしてくれるものの、付属のファンは回転数が低い静音性重視のファンとなっています。

ライザーライザー

忍者五に付属している『KAZE Flex 120 PWM Fans』は800rpmとかなり低速です

なので、もっとガッツリ冷やしたい場合は別の冷却性能の高い120cmケースファン(1200rmpくらい)を取り付けた方が良いです。

ただ、回転数が高ければ高いほど静音性は犠牲になってしまうので、「静音性を取るか?」「冷却性能を取るか?」しっかりと考えてから購入を検討してみると良いかもしれません。

冷却性能、静音性を求めるなら忍者 五は全然アリ

ということで、『忍者 五 SCNJ-5000』のレビューは以上になります。

総評としては、冷却性能に関しては申し分なくAMD純正CPUクーラーよりも性能は高いものの、高性能CPUだとほんの少し物足りないと感じました。

特に、CPUをオーバークロックをされる方となると少々力不足かもしれません。

一応今回のCINEBENCHみたいに高負荷時にほんの数分だけ70度を越してしまう程度であれば特に問題は無いと思いますが、「長時間CPU温度が70度以上を越えてしまう」という方はCPUクーラーの買い替えを検討した方が良いですね。

元々のファンの風量が少ないのでファンを交換するだけでも十分効果が発揮されると思いますから。

静音性に関しては付属のファンの回転数が800rmpと低いということもあって耳を近づけないとファンの音が聞こえないくらいには静かです。

また、『CORSAIR 110Q』のような静音性の高いケースと組み合わせることによって、よりPCの静音性に磨きがかかります。

なので、

・静音性を高めたい人は静音性の高いPCケースと組み合わせる

・冷却性能を高めたい人はファンをより強力なモノにする

といった使い方をすることで、より忍者 五の長所を伸ばすことができます。

もし、忍者 五の購入を検討しているのであれば、そういった“長所を伸ばす”使い方をしてみると良いかもしれません。