データのバックアップはSSDよりもHDDがオススメな理由

最近ではSSDの価格も徐々に下がってきて、1~2TB程度であれば誰にでも手が届く範囲の価格になってきました。

SSDは機能面でHDDよりも優れており、コンパクトで静音性も高く、物理的な衝撃にも強いです。

そして、SSDは何と言ってもバックアップの速度が非常に速い!

上図は1GBの読み書き速度を表しています。

SSDはHDDのシーケンシャル(画像の上から2列目の速度)で2.3~8.9倍、ランダムアクセス(画像の上から3列目の速度)で40~382倍速いです。

ですが、SSDのそれらメリットを加味したうえでも、個人的にはデータバックアップ用のストレージとしてHDDを強く推奨します。

理由は単純で、SSDよりもHDDの方が以下の4つの点で優れているからです。

SSDよりもHDDが優れている点

・容量に対する価格が安い
・大容量の製品が多く流通している
・構造的に長期間データを保存しても損失しづらい
・データの復旧が比較的カンタン

ということで、この記事ではデータのバックアップはSSDよりもHDDをオススメする理由について詳しく解説していきます。

「データのバックアップ用のストレージでSSDとHDDのどちらを買うか迷っている」という方は、ぜひ参考にしてみてください。

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データのバックアップはSSDよりもHDDがオススメな理由

ライザーです。

早速データのバックアップにHDDをオススメする理由について解説していきます。

HDDはSSDよりも容量に対する価格のコスパが圧倒的に高い

まず、HDDが圧倒的に優れているのは、容量に対する価格が圧倒的に安いという点です。

製品や容量にもよりますが、同じ2TBの容量であってもHDDはSSDの半額以下で購入できます。

例えば、下記製品は同じメーカーで同じ容量のストレージですが、価格差は倍以上。

しかも、容量が3TB、4TBと増えていくほど価格差は広がっていきます。

実際これら製品の場合、SSDは4TB約5万円なのに対し、HDDはたったの1万円程度で購入可能です。

ライザーライザー

回転数の違いはあるものの、2TBで8,000円のHDDにプラス2,000円するだけで4TBのHDDが買えるのは最強すぎる

ということで、容量に対する価格のコスパはHDDの方は圧倒的に高いです。

HDDは大容量の製品が多く流通している

人によっては1~2TBでも問題なくデータをバックアップできるかもしれないので、容量の大きさに関してはあまりメリットを感じないかもしれません。

ですが、最近は動画や画像だけで200~300GB以上になることもありますし、ゲーム1本100GB以上というのも少なくないです。

実際私を含め、ゲームをよくやる方や、動画・画像データを保存する方だと1~2TB程度の容量だとすぐいっぱいになってしまいます。

ライザーライザー

個人的にバックアップ用のHDDは、最低でも現在使用しているPC容量の2倍以上の容量は欲しいです

で、その肝心の容量については、SSDの場合個人で気軽に購入できる範囲でも最大8TBに対し、HDDは16TBや44TBなど比較にならないほど超大容量な製品が比較的手に入りやすい価格帯で販売しています。

先ほどもお話した通り、今後ゲームや画像・動画データを大量に保存することを考えると、最低でも6~8TBは欲しいところです。

そうでないとすぐ容量がカツカツになってしまいますから、個人的には読み書き速度の速く容量の少ない4TBのSSDよりも、容量の多いHDDの方が良いと思います。

長期間使わない場合、HDDの方が長時間データを記録できる

巷ではHDDの方が耐久性は高いと言われていますが、正直ハード自体の寿命に関してはどちらもそこまで差が無いです(どちらにもメリットとデメリットがあるという意味)。

ただし、データのバックアップ用途など長期間電源を入れずにデータを保存する場合に関して言えばHDDの方に軍配があがります。

まず、SSDはNAND型フラッシュメモリにデータが保存されていて、主に絶縁膜」「浮遊ゲート」「トンネル酸化膜によって構成されています。

それぞれの役割に関しては大体こんな感じです。

絶縁膜:電子を漏らさないための膜。

浮遊ゲート:電子を格納する場所。

トンネル酸化膜:通常は絶縁膜と同様、電子を漏らさないための膜となっていますが、データ書き込みや消去する際は電子が通過する膜。

 

浮遊ゲート内に蓄積された電子が情報を記憶しています

ただし、トンネル酸化膜によって絶縁状態にして電子の放出は防いでいるものの、長期間書き換えがないと自然放電してデータが消失する可能性があります。

まぁ実際のところ長期間とは言っても数年程度であれば全く問題ないとは言われています。

私も4年ぶりくらいにUSBメモリのデータを見たのですが、普通に残ってしましたから。

とは言っても、HDDと比較したらデータが消える確率は高いのは事実です。

それに対して、HDDの場合は金属製の硬いディスク(プラッタ)に磁気の力を利用して情報を書き込んでいます。

このHDDの構造だと磁気や衝撃に弱いというデメリットはありますが、長期間放置していてもデータが消失する可能性は限りなく低いです。

なので、データのバックアップ用途としては長期データの保存ができるHDDの方が向いていると思います。

HDDはデータ復旧が比較的容易

HDDは、仮に本体が壊れても情報が記憶されているプラッタ部分さえ無事であれば情報を取り出せる可能性が高いです。

しかも、HDDのプラッタは頑丈な作りとなっていて、あまり壊れることがありません。

また、先に壊れるとしても動力部分なので、異変にもすぐ気づきやすいです。

よくある例として、動力部分が壊れると異音がしたり読み込む際にエラーが出たりします。

もちろんSSDの場合も壊れ方によっては復旧できる可能性もあり、基本的にはフラッシュメモリさえ無事であればデータ復旧できる可能性が非常に高いです。

ですが、SSDの場合は構造上データを復旧できる確率がHDDと比較するとかなり困難です。

まず、HDDの場合は「プラッタ」1か所に全ての情報を保存しています。

それに対しSSDは、複数の「フラッシュメモリーチップ」内にある複数の「セル(記憶領域)」にデータを分散させて保存しています。

そして、保存したデータを読み出す際は、それら分散して保存したデータを集めて復元しています。

つまりは、セルに保存されているデータが1つでも欠けると、元のデータを読み出すことができなくなってしまうということです。

ということで、SSDはデータ復旧するのが非常に困難なので、バックアップ目的であればHDDに保存するのが最適というお話でした。

オススメのHDDに関して下記記事で紹介しているので、良かったらコチラも合わせて参考にしてみてください。

PCデータバックアップ用おすすめ外付けHDD5選

SSDとHDDのメリットとデメリット 比較表

ということで、データのバックアップはSSDよりもHDDをオススメする理由については以上になります。

取り敢えず、個人的にはSSDよりもHDDの方がオススメではあるのですが、ただ解説しただけでは納得いかないかもしれません。

なので、ここからは「どちらのハードにデータをバックアップした方が良いのか?」実際にSSDとHDDの比較をして確認していきたいと思います。

メリットを青、デメリットを赤で色分けしています。

HDDとSSDの比較
HDD SSD
読み書き速度 遅い 速い
静音性 シーク音がする 無音
耐久性 物理的な衝撃に弱い 物理的な衝撃に強い
磁気の影響 磁気でデータが破損する 受けない
データの長期保存 向いている 自然放電によってデータが消失
データ復旧のしやすさ 比較的容易 困難(ほぼ無理)
書き込み制限 なし あり
寿命(交換目安) 5~10年 5~10年
容量に対する価格 安い(1TB約5000円) 高い(1TB約1万円)

メリットとデメリットに関してはほぼ半々といったところではありますが、パッと見た感じだとSSDの方がメリットは多いので良さそうな感じがすると思います。

しかも、ほとんどのデメリットは普通に使っている分には特に気にしなくても良いものばかりです。

例えば、自然放電によるデータ消失に関しては5年以上放置していてもデータの消失なく使えることも全然あるので、月1の頻度でバックアップする方であれば全く問題ないでしょう。

私も実際に何年も放置していたUSBメモリ(構造自体はSSDとそこまで変わらない)を久しぶりに見たら全てのデータが完全な状態で残っていましたから。

寿命に関してはSSDの方が書き込み制限がある分HDDよりも短いと言われるていますが、実際にはHDDとほぼ変わりません。

確かにHDDはプラッタに磁気の力を利用して情報を書き込んでいるため、半永久的に情報を保存できますが、駆動部分に関しては使えば使うほどどんどん劣化していきます。

それに対して、SSDは書き込み制限があるものの、データのバックアップであれば頻繁に実行しないため、むしろ駆動部が存在しないSSDの方が長持ちするかもしれません。

価格に関しても高いとはいえ1TBであれば1万円、2TBであっても2.5万円程度と決して手を出せない金額ではないです。

なので、バックアップするデータ量が1~2TB程度であれば外付けSSDでも良いと思います。

それに対して、HDDは読み書き速度が遅く衝撃や磁気にも弱いので、普段使い用にデータを保存する場所としては向いていないと思われるかもしれません。

ただし、SSDはデータ復旧が困難という最大の弱点があります。

こればかりはSSDの構造上どうしようもないです。

なので、最悪の事態を考慮した場合、データの保存先として安心感があるのはHDDだと私は思いました。

データのバックアップはSSDよりもHDDがオススメな理由 まとめ

ということで、データのバックアップはHDDよりもSSDをオススメする理由については以上になります。

HDDをオススメする理由についてまとめるとこんな感じです。

まとめ

・HDDの方が容量に対する価格のコスパが圧倒的に高い
・HDDは大容量の製品が多く流通している
・長期間使わない場合、HDDの方が長時間データを記録できる
・HDDはデータ復旧が容易

SSDと比較してHDDは読み書きの速度、耐衝撃性など劣る部分はいっぱいありますが、データのバックアップ先としてはまだまだHDDの方が信頼性は高いと個人的には思います。

特に、大切なデータを保存する際、長期間データを保存できたり、破損した場合のデータ復旧率のことを考えるとHDDに軍配が上がるかと。

ただし、バックアップしたデータを頻繁に持ち運ぶ場合に限っては、物理的な衝撃に強いSSDがオススメです。

容量に対する価格は高くなってしまいますが、物理的な衝撃の強さに関してはSSDを越えるHDDはまず無いですから。

逆に持ち歩く機会がほとんど無ければHDDを選んでまず問題ありません。

データバックアップ用にオススメの外付けHDDについては下記記事で紹介しているので、良かったらコチラも合わせて参考にしてみてください。

PCデータバックアップ用おすすめ外付けHDD5選